その疑問にお答えします。
突然ですが、渓流釣りと電気ショッカーにどんな関係があるか理解できますか。
もしかして、電気ショッカーで一度に魚がゲットできるなんて思いませんでしたか。
水に電気を通したら、魚が死んでしまうのではないか不安になります。
そもそも川で電気なんて使っちゃだめなんじゃない?と思うでしょう。
実はこの電気ショッカー、渓流と深い関係がある大切な道具なのです。
ここではこの電気ショッカーについて、使用する目的を紹介していきます。
目次
電気ショッカーって何?
電気ショッカーとはバッテリーを通して川に電流を流し、魚を失神させて網で捕獲するために使用します。
魚が感電するのは数分なので、その場で調査し逃がす場合はスピード勝負です。
どんな調査?
調査内容は様々ですが、例えば
- 福島原発付近の魚を採捕し、生態的・遺伝的な特性を調べる
- その川に生息する固有種の量や大きさ、肥満度
- ダム建設付近の川に生息する魚たちへの影響(数や大きさなど)
- 特定の川に生息する外来種の調査
のような調査がありました。
実際に渓流で電気ショッカーを使用する動画がありますので参考にどうぞ
電気ショッカーは背負式を使用して調査をしています。
調査に使用される電気ショッカーにアメリカのスミスルート社が製造する電気ショッカーがあります。
LR-20BとLR-24型の2種類があり、3つスペックを比較してみます。
伝導度範囲 | 重さ | 使用可能時間 | |
LR-20B | 10~1950μS/cm | 約7.5kg | 40分 |
LR-24 | 10~2150μS/cm | 約9.43kg | 120分 |
他にもスペックの違いがありました。
共通することは魚を傷つけないように電力の周波数、出力波形などが細かく調節できるところです。
万が一転倒したときなどに急停止する自動装置もあり安全です。
操作方法もシンプルで使いやすいところも安心安全に考えられている点ですね。
川を見続けながら背負い歩くのも大変ですが、10kg以内と軽量に感じます。
もっとも魚を殺傷しないことに重きを置いて作られているので、安心して使えますね。
電気ショッカーは何のために使うの?
前述でも電気ショッカーでの調査内容を記載しましたが、ここではより細かく紹介します。
川の生態系を知る
外来生物の生息を確認することに使われます。
湖などの広範囲はショッカーボートを使用し、広範囲で電流を流します。
電極ワイヤーを水中に入れ、電気を一気に流して、失神した魚を捕獲します。
アメリカで外来種の駆除目的によりショッカーボートを使用する動画がありますので参考にどうぞ
某テレビ番組のように水を全部抜くよりも、外来種に特化して駆除できますよね。
また、大きな湖での外来種の整体を調査したり、捕獲するのはボートが活躍するでしょう。
ニジマスは外来種
渓流釣りでもよく見かけるニジマス。これも外来種と知っているでしょうか。
ニジマスは明治期に輸入された外来種です。
ニジマスは肉食性のため昆虫を餌にし、さらにはイワナ・アマゴなどの産卵床を荒らして食べることもあります。
ただニジマスは経済的効果のある魚として分類され、管理をすれば駆除しなくて良いとされているのです。
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外来種が全て悪いということはありません。
ブラックバスやニジマスの釣りを楽しむ人が多くいますよね。
環境問題や在来種の減少・遺伝子の変化など外来種が及ぼす影響はたくさんありますが同じ命です。
すべて悪とは考えたくないものですね。
対象魚がどれだけいるのかを予測する
- 電気ショッカーで捕獲した対象の魚に目印を付けて逃します。
- 後日(一週間以内)、再度電気ショッカーで魚を捕獲するとその目印を付けた魚が何匹かいます。
- その目印がある対象魚を捕獲することで、川中に対象魚がどのくらい生息しているのかを予測します。
これを標識再捕法といいます。
川の中の魚って何匹いるんだろうと疑問に思った経験ありませんか?
具体的に計算する方法があることに驚きますね。
稚魚放流後の生存率
6月頃にヒレの無い稚魚を放流し、8月に標識採捕法によってヒレの無い対象魚を数えます。
この調査では魚の残存率や成長具合がわかります。
結論から言うと違います。
もっとも、稚魚が15センチまで大きくなるのは1〜2%と低確率なのです。
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また残存率や育成のための費用などを考えると、稚魚放流の単価はかなり高くなることがわかります。
渓流釣りで釣れた魚が小さいと不満に思う人もいるでしょう。
しかしこのような背景を知ると、稚魚の大切さがわかります。
放流成魚の釣獲数の確認
稚魚放流と同じ方法で行います。
放流した数からヒレのない成魚を差し引いて数えることで放流魚から釣られた数(回収数)を把握します。
遊漁目的として、渓流に放流して釣りを楽しむことが大きな目的です。
渓流魚は残存率が少なく生産数が低いので、渓流釣りは獲匹数の制限やリリースが望ましいでしょう。
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天然魚と放流魚の違いは?
天然魚とは、まず国内の特定の川に昔から生息する固有種(渓流の場合はイワナ、ヤマメ)をいいます。
天然の渓流魚は渓流の最上流に生息していることが多くあります。
天然魚を守る取り組みとしては、
- 禁漁・・・天然魚のいる川の支流を順番にしばらく禁漁にします。
- 人口の産卵所を作る
- 稚魚の住みやすい場所を作る
また、餌となる昆虫の量や川の水流の低下、水温の変化も天然魚の減少につながります。
天然魚の希少さを知らず、たくさん狙う人もいますね。
天然魚の大切さを知っておきたいものです。
渓流釣りを楽しむためにおすすめの装備道具を紹介する記事がありますので参考にどうぞ
-
渓流釣りを楽しもう!初心者さんにおすすめの装備を徹底解剖!
続きを見る
電気ショッカーで魚を捕まえても良いの?
この電気ショッカーを使用するには、試験研究目的での使用のみ許可とされています。
また、使用するためには都道府県知事から特別採捕許可を得なければなりません。
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いくら安全に作られているとはいえ電気を流す行為は、リスクが伴います。
実際に、魚の体を傷つけてしまうことや魚卵や稚魚の成長低下などが見受けられています。
感電に注意
もちろん人間にも危険が伴う道具で、感電の恐れがあります。
感電対策としては、
- 絶縁手袋、ウェイダーの着用
- 周囲に素肌の人がいないかを確認する
- 電源は対象場所で初めて入れる
など、取り扱いに注意が必要な道具です。
ウェイダーとは?
川釣り時に水濡れ対策として着用するものです。
足から胴体まで繋がっており、電気ショッカーを使用する際にはゴム製のウェーダーを着用します。
出典引用:楽天市場
渓流釣りでウェーダーを着用する人も多くいます。
劣化するので、ウェーダーに切れ目などの破損があり浸水すると感電の恐れがあります。
ウェーダーについて詳しく紹介する記事がありますので参考にどうぞ
-
渓流釣り服装のポイントと初心者さん向けウェーダーについて解説
続きを見る
もっとも電気ショッカーを個人で使用し、魚の採捕に使用することは違法です。
電気ショッカーの自作や通販で個人購入し、事故が起きるケースもあります。
中国で電気ショッカーを使用して採捕する動画がありますので参考にどうぞ
中国でも電気での採捕は禁止のようですが、動画があるということは少なからず使用する人がいるのでしょうか。
電気を使用する釣り方法として電気ウキがあります。記事がありますので参考にどうぞ
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餌釣りを夜にするなら電気ウキ!おすすめ5選と電気ウキの特徴解説
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【イノチダイジニ】渓流で電気ショッカーを使う理由が深すぎた!!:まとめ
いかがでしたでしょうか。
電気ショッカーは渓流の現状を把握し、より良くするための道具であることがわかりました。
電気ショックによって失神する魚の動画を見ると可哀想と思いましたが、違うのですね。
魚を活かしながら、その環境を調査しより良くするための道具なのだと知りました。
渓流魚の減少も問題となっている昨今、電気ショッカーは大切な調査です。
渓流釣り大好きな私も、電気ショッカーでの調査の大切さや天然魚の希少さを考えさせられるきっかけです。
渓流釣りでのルールとして野営も問題とされています。詳しい記事はこちら
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