メル 釣り

「メル」って魚どんな魚?知られざる白身魚の生態と魅力とは?

「メル」ってどんな魚なの?日本で釣ることはできるの?

このような疑問にお答えします。

日本ではあまり馴染みがない魚「メル」。

「メルって何の魚?」

釣り人でもそう感じる人が多いのではないでしょうか。

実はこの「メル」、海外ではメジャーな食用魚の一つ。

今回は「メル」とはどんな魚なのかについて深堀していきたいと思います。

メルの生態や特徴、また海外へ遠征するために必要な知識などをご紹介いたします。

「メル」の魅力を知って、もっと釣りを楽しみましょう。

 

「メル」とは?

最初に「メル」とはどんな魚なのかについておさえておきましょう。

メルの基本情報

「メル(Mer)」とは、正式には メルルーサ(Merluccius属) という魚の略称・通称です。

英語名は Hake(ヘイク)、スペイン語では Merluza(メルルサ)と呼ばれています。

つまり、「メル」=「メルルーサ」=「Hake(ヘイク)」、同じ魚なのですね。

メルルーサの分類

  • 硬骨魚綱(Actinopterygii)
  • タラ目(Gadiformes)
  • メルルーサ科(Merlucciidae)
  • メルルーサ属(Merluccius)
  • 学名例 Merluccius australis, Merluccius hubbsi, Merluccius productus など

このような分類の魚で、メルルーサは、タラの仲間です。

見た目や味もタラに非常によく似ており、「白身の高級魚」としてヨーロッパでは非常に人気がありますよ。

また海外では釣りにおいて、タラやコッドと並ぶ人気ターゲットの一つです。

タラの仲間?メルの正体

メルは、分類上「タラ目・メルルーサ科」の魚ですが、外見はかなり独特。

日本のタラ類(マダラやスケトウダラ)と比べると、別種の雰囲気を感じさせる魚です。

深場を回遊する習性を持つ、別名「ディープゾーンのハンター」です。

メルの外見的特徴

  • 体型:細長く流線形。やや蛇体に近い。
  • 全長:成魚で40〜80cm、最大で1m超。
  • 体色:背側が銀灰色〜青みがかった灰色、腹側は白銀色。
  • 頭部:タラよりも鋭い。大きな口とやや尖った顎。
  • 目:大きく、暗所視に優れ、深海魚らしい黒目がち。
  • 口内:鋭い小歯がびっしり生えている。

このように、タラとホキの中間のような外見をしています。

ホキのようにスリムで流線形で、マダラのように大きな口と頭部を持ち、銀色に輝く滑らかな体表なのがメルです。

口の中には鋭い歯が並び、小魚を一撃で捕らえるメルは、タラ目の“スリムハンター”といった印象の魚ですね。

深海魚としてのメル

メルは、水深200〜700mの暗い海底に生息しています。

そのため、外見も深海性魚類特有の特徴が見られますよ。

メルの深海適応

  • 大きな目:暗所での視覚を補うため。光を集めやすい。
  • 光沢のある体色:光を反射して敵から身を隠すカモフラージュ。
  • 大きな口:一瞬で獲物を吸い込むため。
  • 細長い体:深場の水圧と流れに対応するための形態。

泳ぐ深海魚である「メル」は、細長く流線型の体型をしています。

ヒレの特徴

  • 背ビレ 2基あり、前方の背ビレは短く、後方の背ビレは長い。
  • 尾ビレ ややフォーク型(V字状)で、遊泳力がある。
  • 胸ビレ 長く、体の中ほどまで届く。

深場を活発に泳ぎ回るため、長距離遊泳型のフォルムとヒレを持っています。

 

メルの生態

メルの生態についてもおさえておきましょう。

メルの行動特性

深海に生息するメルですが、実際には底棲魚というよりも、底近くを遊泳する回遊性の捕食魚です。

特徴的な行動

  • 水温や潮流の変化に敏感で、群れで移動。
  • タラ類よりも泳ぎが速く、単独行動も多い。
  • 夜間に表層付近(100〜200m)まで上がって捕食する。
  • 季節によって産卵回遊・餌回遊する。

このような行動をとります。

釣り人

海外の漁業においてはトロール漁や底曳き網で漁獲されますが、スポーツフィッシングでも「ディープジギングターゲット」として人気です。

メルの食性

メルは、見た目に反してかなりアグレッシブな魚です。

メルは完全なフィッシュイーター(肉食魚)。

夜行性のため、夜になると群れで小魚を追い回し、イカやオキアミも捕食しています。

メルの捕食ターゲット

  • 小魚類:イワシ、アジ、ニシン、ホキの幼魚など
  • 甲殻類:エビ、オキアミ、ヨコエビ類
  • 頭足類 :カ、タコ類

メルは、主にこのようなターゲットを捕食しています。

また実は自種の稚魚、共食いも多いんですよ。

一言メモ

メルは日中は深場、夜は中層へ浮上する「日周鉛直移動」をしています。

「日周鉛直移動」は、獲物を追って海底から中層へ移動する習性のこと。

深海魚でありながら活発な捕食者であることがわかりますね。

釣りで狙う場合は、メタルジグやサバの切り身などにも食ってくると海外から来た知り合いの釣り人が言っていました。

ジグや餌を動かす「生きたようなアクション」に反応しやすいんだそう。

深海でも捕食本能が強いので、アタリが明確なのも特徴ですね。

メルの成長・寿命

メルの成長速度や寿命についてもおさえておきましょう。

成長速度と寿命

  • 成長速度:3〜4年で40〜50cm前後
  • 成魚サイズ:60〜90cm(最大1.2m)
  • 寿命:約15〜20年(種により差あり)

また産卵期は、冬〜春(南半球では8〜12月)。

沿岸寄りの大陸棚縁辺(100〜400m)で産卵しますよ。

産卵期には群れを成して沿岸寄りの比較的浅場に移動し、稚魚は浮遊生活を経て、1歳頃から底層生活を始めます

ココがポイント

漁場においては、明確に分布が変わるのも特徴です。

  • 春先の浅棚=産卵個体群。
  • 夏以降の深場=成魚群。

 

メルの分布

メル(メルルーサ)は冷たい海を好む魚です。

南半球を中心に、世界中の冷水域に分布しています。

代表的な生息地

  • 南米沿岸(チリ・アルゼンチン):最も漁獲量が多く、世界中に輸出される中心地。
  • 南アフリカ沖:「ケープヘイク」として知られる。
  • ニュージーランド南島沖:「サウスヘイク」など複数種が生息。
  • 北大西洋(ヨーロッパ沖): スペイン・ポルトガルでは人気の食材「メルルサ」として知られる。

このような場所に生息しており、日本近海には生息していません。

世界のメルの種類と分布

世界中に分布している「メル」ですが、全て同じ種類というわけではありません。

主な種類と生息地についてみていきましょう。

主な種類 生息地
チリメルルーサ (M. australis) チリ南部~パタゴニア
ニュージーランドメルルーサ (M. australis polylepis) NZ南島沖
ケープヘイク (M. capensis) 南アフリカ沖
アルゼンチンメルルーサ (M. hubbsi) アルゼンチン~ウルグアイ沖

世界にはこのような種類のメルが生息しています。

どのメルも、好む水温は3~10℃と言われ、冷水域に生息しています。

メルが日本ではなぜ馴染みがないワケ

日本では「メルってどんな魚?」と聞いて、すぐ思い浮かぶ人は少ないでしょう。

それは南半球を中心に生息している魚であることが大きいです。

海水温の高い日本近海では生息しておらず、「冷凍食品でしか見ない魚」。

給食などで出されているものの、白身魚としか表記されていない場合もあるため、馴染みのない魚なのですね。

寒流+深場」を好む魚であるメルは、水深200〜1000mの範囲で群れを成して生活しており、まるで深海のタラといった存在です。

釣り人目線で見た「メル」の魅力

日本では釣ることができない「メル」。

しかし釣り人ならどんなファイトになるのか、知りたいですよね。

メルは、タラ釣り同様深場でのヒットは重厚

ゴンゴンと竿に伝わる独特の引きが持ち味です。

そのため海外ではディープジギングとして人気があります。

釣り人

実際にメルを釣ったことのある友人によると、釣り上げたときの印象は、タラのような見た目だが、身がしっとりしているのだそう。

また船上で見ると、銀灰色の体が深海魚らしく輝いてきれいなんだとか。

なかなか海外での釣りはハードルが高いですが、一度は挑戦してみたいですね。

 

メルの味は?

メルとはどんな魚なのかについてここまではご紹介しました。

日本でも冷凍の切り身が販売されているメル。

その味はどんなものなのかについても知っておきましょう。

メルの味と特徴

  • 白くてきめ細かい身質。
  • クセがなく淡白な味わい。
  • 加熱しても身が崩れにくく、フライやムニエルに最適。

メルの身は、ふっくら・しっとりしています。

海外では、メルはタラよりもやわらかく上品で、ホキよりもふっくらと言われています。

日本での使われ方

日本では「メルルーサ」という名前で出回ることは少ないです。

しかしながら実は、

  • 白身魚フライやフィッシュバーガーの原料。
  • 給食・冷凍食品・弁当惣菜用の白身魚。

として使用されていることがあります。

パッケージには「白身魚」、「メル」、「メルルーサ」、「ヘイク」などと表示されることが多く、実は多くの人が知らないうちに食べていますよ。

フライやムニエルにすると、外はサクッ・中はふんわり仕上がって美味しい白身魚です。

タラやホキとの味の違い

日本で釣れ、食されているメルに似た魚である「タラ」や、「ホキ」との味の違いについてもみていきましょう。

メルと似た魚との味の違い

魚種 食感 特徴
メル 淡白でクセなし。 しっとり系。 上品で繊細。
ホキ やや弾力あり。 プリッとしている。 食べ応えがある。
タラ(スケトウダラ) 塩気とうまみあり。 ほぐれやすい。 加工品向け。

このような違いがあります。

先ほども述べたように、日本では、学校給食や白身魚フライ、ファストフードのフィッシュバーガーにもメルは使われていることがあります。

つまりメルは「釣ったことはないけど、食べたことはあるおいしい魚」なのです。

冷凍フィレのおすすめの食べ方

  • フライ
  • バターソテー

日本に流通しているメルの冷凍切り身は、このような食べ方がおすすめです。

私も先日購入したのですが、冷凍でもしっとりした食感の美味しいフライになりましたよ。

クセがないので、いろいろな調理が楽しめますね。

 

メル釣りをするには?

日本近海には生息していないため、釣ることはできませんが、海外ではメル釣りは盛んに行われています。

南米やニュージーランドでは、メルはディープジギングやバーチカル釣りの人気ターゲット。

大型個体は1m近くに達し、白身魚とは思えぬほどのパワーが釣り人を魅了しています。

メタルジグやサバ切り身を使い、300〜500mの深場を攻めますよ。

メル釣りのできる国

メル釣りは、先ほどご紹介した海域の商業漁業が盛んな国の沖合で楽しむことができます。

個人アングラーでもチャーター船を使えば、挑戦は十分可能ですよ。

国・地域 主なエリア 特徴
チリ・アルゼンチン パタゴニア沿岸 世界最大のメルルーサ漁場

冷水の深場に群れる。

南アフリカ ケープタウン沖 タラに似た釣趣。

引きが強くゲーム性あり

ニュージーランド 南島ステュワート島沖 レッドコッドやホキと混在。

地元では食材としても人気。

なかでも個人アングラーに人気が高いのが、チリ・パタゴニア遠征です。

深海ジギングでメルを狙える現地船があるため、欧州やアメリカの釣り人にも注目されています。

狙う水深とシーズン

メルは、主に南半球の海、特に冷たい潮を好む深海魚です。

水深200〜500mラインの斜面や、棚の切れ込みを回遊しています。

狙うシーズンと条件

  • ベストシーズン:現地の冬(6〜9月)
  • 潮流条件:やや緩い潮が◎。(速潮では底取りが困難。)
  • 時合い:朝夕のマズメ刻に活性が上がる。

このようなシーズンに狙うといいでしょう。

深場のため、電動リールやヘビー系ジグが必須の釣りです。

メルを狙うタックルと仕掛け

メルを狙う時に使いたいタックルについてもおさえておきましょう。

日本では釣ることができないものの、海外に行って狙いたいと考える方へ向けて、使いたいタックルについてご紹介いたします。

使用タックル

  • ロッド:6ft前後のディープジギングロッド
  • リール:ハイパワー電動リール(シマノ・ダイワ)
  • ライン:PE3〜5号+リーダー100lb前後
  • ジグ:250〜500gのロングジグ
  • フック:5/0〜6/0(アシスト上下2本仕様のもの)

このようなタックルを使用します。

タラやメヌケ狙いの釣りと同じようなタックル構成でOK。

釣り上げる魚のサイズは、2〜5kg級が多く、大型になると10kgを超える個体もあるんですよ。

タラのように「ドン、ドン」としたヒット感が持ち味。

パワーというよりは重量感があり、深場からのやり取りが楽しい魚です。

釣り人

ロッドは深海用や、タラジギング用のものを流用してもOK。バットパワーがあるものを選びましょう。

ジグはスロー系のフォールアクションが効果的です。

潮流が緩いときはロングジグをゆっくりしゃくり、深場で浮いたメルルーサを誘うのも◎。

メルの取り込みは、タモよりもギャフがおすすめですね。

深場から上げた魚は気圧差で浮袋が膨張しやすいので、ゆっくり巻き上げるようにしましょう。

おすすめロッド

ダイワ 船竿 マッドバイパー 深海 H-195 釣り竿

こちらはダイワのマッドバイパー。

深海のターゲットを狙うために設計されたモデルです。

重量のあるジグや、深場での厳しいやり取りに対応可能ですよ。

私の友人が使っているのですが、キンメなどを狙うのにもいいのだそう。

粘りのある調子がいいといっていました。

おすすめ電動リール

ダイワ 電動リール/電動ジギング シーボーグ゛ G300J 右/左ハンドル

こちらはダイワの電動リール、シーボーグです。

ワンハンドで操作可能なJOGシステムが採用されている一品。

強力なモーターが搭載されているので、深海・大型魚にも対応可能ですよ。

パワーもあり、モニターも見やすいので深海を狙う際は必ず使っていると私の友人が言っていました。

現地の釣り文化とルール

南米や南アフリカでは、メルは「漁業資源」として厳しく管理されています。

そのため釣り人が楽しむ場合も、事前に規制やマナーを調べ、守ることが大切です。

ルールや規制

  • キャッチ制限。(1日3〜5匹までなど。)
  • 産卵期(9〜12月)は禁漁エリアがある。
  • 船宿ごとの持ち帰り制限・サイズ規定あり。

主なルールは、このようなものが挙げられます。

釣り人

事前に調べて、把握しておくことが大前提ですが、現地ガイド付きツアーでの釣行では、このようなルールや規制をきちんと案内してくれます。

ライセンスが必要な場合には、取得も代行可能な場合もありますよ。

メル遠征を成功させるコツ

  • 信頼できる現地オペレーターに予約を入れる。
  • 天候・潮流の情報を事前確認。
  • 電動タックルの予備バッテリー必携。
  • 保険・釣具の輸送トラブル対策。

これらを事前に準備しておくことで、メル遠征を円滑に進めることができるでしょう。

特に南米遠征では時差とフライト時間が長いため、余裕を持った日程計画が必要となります。

日程を組む際には、予備日を1〜2日設けるようにしましょう。

日本からの遠征費

実際に日本からメル遠征を行う場合、どのくらいの費用がかかるのかについても知っておきましょう。

遠征費用の目安表

1日チャーター費用(1人~グループ) 航空+宿泊込みのトータル目安(3~5日)
チリ(ロビンソン・クルーソー島付近) ボート+ガイド+タックル含め:約 US$500〜1,000 (日本円で約3~6万円)
往復航空・島内移動・宿泊含む:約 US$3,000〜5,000(日本円で約40~55万円)
ニュージーランド(深場釣り) 約 NZ$1,000〜2,000≒約 US$600〜1,200(日本円で4~7万円) 往復航空・島内移動・宿泊含む:約 US$3,000〜5,000(日本円で約35~45万円)
南アフリカ(ケープタウン/深海) ボートチャーター:約 US$400〜800(日本円で約3~5万円) 航空・宿・釣行含む:約 US$2,000〜3,500(日本円で約32~45万円)

為替レートや地域、シーズン・人数・装備レンタルの有無によっても、必要な費用は変動します。

あくまで「目安」として考えましょう。

ポイント

  • チャーター費用には「船・ガイド・タックルレンタル・燃料」が含まれることが多いが、「宿泊・食事・空港送迎」は別途というケースもあります。
  • 深海・電動ジギング対応のチャーターは、通常より高め。
  • 航空費用・ビザ(該当の場合)・保険・現地交通・食事・釣った魚の輸送も考慮が必要です。
  • 為替変動・シーズン(ハイシーズン/ローシーズン)によって料金は上下するため注意。

 

「メル」って魚どんな魚?知られざる白身魚の生態と魅力とは?:まとめ

今回はメルについてご紹介しました。

日本ではあまり馴染みのない魚である「メル」ですが、海外ではメジャーな食用魚。

そんなメルの生態と、メル遠征に行くための知識やタックルについて合わせてみていきました。

一度は行ってみたいメル遠征、その参考にしてみてはいかがでしょうか。

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